自伝以外読む気になれない フィクションに白けるようになって伝記ばかり読んでいます

年を取ってフィクションに興味が持てなくなりました 自伝や伝記ばかり読んでるのでその紹介など

DeepLで読んでみたKindle洋書 ”じゃない方”(和訳本が出版されなかった方)の自伝に綴られた、日本には伝わらなかった格差のこととか

ピート・タウンゼント曰く「ザ・フーの天才じゃない方」ことロジャー・ダルトリーの自伝です
ザ・フーはベースとギター(作曲する方)が中流階級、ドラムとボーカル(作曲しない方)が労働者階級という色々と生々しいバンドです
 
そんなわけで「中流階級じゃない方」のロジャー氏ですが、序盤はあまり裕福でない幼年時代から陰惨な暴力を受ける話が続くのでちょっと辛いです
ただ、そんな悲惨な状況にいながら希望を捨てず、成功を掴むと言う描写はまるで古典的な教養小説のような面白さです
 
 ザ・フーについてはピートの姿勢を誰よりも近くで見つつ、自分の当時の鮮烈な思い出を並列してくれるので、客観性を保ちながらも当時の熱狂が伝わるいい文章だと思います
ザ・フーではピートにしか興味がないというような人でもむしろピートの自伝より楽しめるのではないでしょうか
 
ロジャー曰く
 
個人として、俺たちは違っていた。俺たちは違う側から来たんだ。ピートは私が思っていたよりもずっと中流階級だった。ジョンは税務官の訓練生だった。キースは私と同じように労働者階級だった
 
南部の60年代前半のプロのグループの多くは、中流階級の子供たちで、中流階級の価値観に反発している中流階級の出身者だった。俺たちはそのようなバンドではなかった。俺たちは他のバンドとは違っていた。俺たちは他のバンドとは違っていたんだ。”
 
思うんですけど、情報って日本に紹介される時点で選別がかけられていて、基本的にこちらには「勝ち組」の状況しか伝わらない
ロジャー曰く「僕が思っていたよりもずっと中流階級だった」ピートの言葉だけがこちらに届いて、暴力にさらされたり、犯罪者にならなくて済んだことを喜んでいる「じゃない方」の悲哀は海外デハ存在しないことになっていると
 
本来なら日本に伝わらない筈の(存在しないはずの)、”特権階級じゃない方”の話がすごく興味深かったです
ありがとうDeepL ありがとうテクノロジー
平易な英語なのでDeepLの翻訳で殆ど問題なく読めました
面白かったです
 

Thanks a Lot Mr Kibblewhite: My Story (English Edition)

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