昭和が去っていくのを美しく描いた本 ものすごく特殊な環境にいる人がそれを淡々とそのまま書いてくれるというなかなか得難い奇跡のような1冊だなと
昭和の価値観というのは今では全否定されるばかりですけど、この山小屋のような状況を見ると、少なくとも当時は必然性があったんだなという事がよく判り
この書の中では「おにぎり」がエネルギーの象徴として賛美されているけれど、現在は糖質制限の時代で
そしてその「過去」の去り方が悲劇のようでもありそれが美しくも見え
反転ネタバレ
愛すべき登場人物は結局次々と亡くなっていき、巻末は作者による追悼文が並びます
そして妻への感謝の後で、最後に妻からの作者への追悼文でこの本は終わるという
「昭和」が去り方まで美しく描かれていました
私もそうですが、登山をやらない人でも山に興味がない人でも面白く読めると思います