自伝以外読む気になれない フィクションに白けるようになって伝記ばかり読んでいます

年を取ってフィクションに興味が持てなくなりました 自伝や伝記ばかり読んでるのでその紹介など

エモいぜエモいぜエモくて死ぬ これは「文学」だと思いました ケンローチに映画化してもらいたい

ジョイ・ディヴィジョン創設メンバーでありそのギタリスト、同時にニュー・オーダーのリード・シンガーであるバーナード・サムナーの自伝です

今まで色々な自伝を読んできましたが、この本は純粋に「作品」として素晴らしいなと思いました

特にマンチェスターでの過酷な幼少時代から音楽を始めるまでの描写が素晴らしい ほんと文学だと思いました 

どのような不幸も受け入れていくしかなかった人生を、バーニーは恨むでもなく淡々とつづっていきます

そんな過酷な人生の中でもかろうじて噛みしめていた幸福が突然全て失われてしまう運命の残酷さに胸が苦しくなりました

 

フッキーと完全に決別した後で書かれた本なので、フッキーに対する当時の親愛の情は殆ど書かれていないのに、当時の青春まっさかりなエピソードはいっぱい出てくるのでそれも胸が痛いです

心情は書かれていなくても、一緒につるんで楽しかった事はどうしても伝わってしまうので

 

私たちは二人、ほとんどの場合私のスクーターの後ろにフッキーが乗り、ユースクラブに通うようになった。一度、ユースクラブの外に立って中に入るのを待っている女の子たちの気を引こうとしたことを覚えている。フッキーはいつものようにスクーターの後ろに乗り、私がエンジンをふかす。

目論見としては『イージーライダー』の| ピーター・フォンダデニス・ホッパーのサルフォード版のように、クラブの外の芝の丘を颯爽と駆け上がるつもりだったが、後輪がそこで空回りし、スクーターがひっくり返って二人とも泥水の水溜りに放り出されてしまった。女の子たちみんなが見ている前でだ。

恥ずかしい話だが、ほとんどは退屈していたせいで、二人でちょいちょいマンチェスターに出かけ万引きをすることもあった。 47P

 

それも、色んなものを失いながらもそれを受け入れていった彼の人生そのままなのかもしれないなと思いました

当時の英国の状況もよく判る、素晴らしい本だと思いました

ぜひ読んでもらいたいです